住みやすい街。探すときに頭をよぎるのが老後です。今だけでなく未来も、ライフステージが変わっても住みやすい街はどこか気になりますよね。
老後住みやすい街として選ばれている街はどこか実態を紹介します。「住みたい」という希望や想像ではなく、実際に移り住んだ人の数・統計データを元にしたランキングです。多くの人に選ばれている老後住みやすい街はどこか、リアルなランキングが分かります。
老後 住みやすい街 算出方法
総務省統計局では住民基本台帳人口移動報告を発表しています。人がどこからどこへ引っ越したのか、年齢ごと・市区町村ごとにまとめたものです。このデータを使って首都圏の老後 住みやすい街を明らかにします。
老後=60歳以上と定義
日本では高年齢者等の雇用の安定等に関する法律によって定年は60歳、希望者は65歳まで雇用延長可能とされています。
会社勤めの人であれば少なくとも60歳までは働きます。一般的に老後とは退社・リタイア後を指します。なので本記事では老後=60歳以上と定義します。
首都圏内での引っ越しを集計
首都圏整備法では、首都圏は東京、神奈川、埼玉、千葉、茨城、栃木、群馬、山梨の1都7県とされています。
60歳以上の人の引っ越し理由として転勤などの仕事要因は考えづらく、その後の生活のことを考えて移り住む街を決める考えられます。
以上をふまえて60歳以上・首都圏内で引っ越しした人がどの街を選んだのかで老後に住みやすい街をランキングします(引っ越し=異なる市区町村への移動)。
老後の住まい選び 統計集計結果
1年間で、首都圏で引っ越した60歳以上の人数を表にすると↓のようになります。転出元=もともと住んでいた場所、転出先=引っ越した先です。
1年間で、首都圏で引っ越した60歳以上の人数を表にすると↓のようになります。転出元=もともと住んでいた場所、転出先=引っ越した先です。(表は横にスクロールできます)
転出元 | |||||||||||
(単位:100人) | 東京 | 神奈川 | 埼玉 | 千葉 | 茨城 | 栃木 | 群馬 | 山梨 | 首都圏外 | 合計 | |
転 出 先 | 東京 | 288 | 43 | 33 | 27 | 6 | 3 | 3 | 3 | 69 | 474 |
神奈川 | 62 | 220 | 9 | 11 | 3 | 2 | 1 | 2 | 51 | 360 | |
埼玉 | 63 | 9 | 132 | 9 | 4 | 3 | 4 | 1 | 31 | 256 | |
千葉 | 45 | 12 | 11 | 115 | 6 | 1 | 1 | 0 | 31 | 223 | |
茨城 | 13 | 4 | 5 | 7 | 35 | 3 | 1 | 0 | 10 | 77 | |
栃木 | 6 | 2 | 4 | 2 | 2 | 18 | 2 | 0 | 6 | 43 | |
群馬 | 10 | 3 | 7 | 2 | 1 | 2 | 24 | 0 | 6 | 53 | |
山梨 | 5 | 2 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 14 | 4 | 27 | |
首都圏外 | 103 | 59 | 34 | 31 | 9 | 6 | 5 | 3 | |||
合計 | 596 | 354 | 237 | 204 | 64 | 37 | 39 | 23 |
約半数の人の移住先は同じ都道府県内
もともと東京に住んでいて、東京の中の違う市区町村に引っ越した人は約28800人です。東京に住んでいて引っ越した60歳以上の合計は約59600人なので、約48%の人が東京内で引っ越したことになります。
他の地域でも傾向に極端な違いはありません。どの都道府県でも50~60%の人の移住先は同じ都道府県内となっています。住み慣れた地域の近くに住みたい、土地勘の無いところは住みづらいと考える人が多いことが推測できます。
老後 住みやすい街 市区町村ランキング
60歳以上の人から移り住む街として選ばれている、老後住みやすい街はどこなのか具体的な市区町村ランキングを紹介します。
引っ越してきた60歳以上の人数の多さ、引っ越してきた全年齢のうち60歳以上の割合の高さ、2つの偏差値の平均でランキングしています(平均的な街だと偏差値は50です)。
※60歳以上の数だけでなく割合も考慮している理由は、多い少ないを本質的に評価するためです。例えば、そもそも人口が集中している地域は全年齢で引っ越してくる人数が多く、数だけで見ると60歳以上も多く見えます。それはそもそもの母数が多いことが要因であり、老後の住まいとして選ばれやすい実態を表しているとは言えません。「60歳以上に選ばれやすい」観点で評価するため、数だけでなく割合も考慮しています。
首都圏380の市区町村のなかで老後に住む街として選ばれているベスト10は↓です。
引越してきた60歳以上の | |||||
偏差値 平均 | 人数 | 割合 | |||
(人) | 偏差値 | (%) | 偏差値 | ||
東京都 檜原村 | 86.8 | 50人 | 42.1 | 61.0% | 131.5 |
東京都 世田谷区 | 69.7 | 2151人 | 98.7 | 4.8% | 40.6 |
東京都 奥多摩町 | 69.5 | 70人 | 42.7 | 39.3% | 96.4 |
千葉県 御宿町 | 69.3 | 73人 | 42.7 | 39.0% | 95.9 |
東京都 足立区 | 68.0 | 1903人 | 92.0 | 6.9% | 44.0 |
東京都 八王子市 | 66.7 | 1651人 | 85.2 | 9.5% | 48.2 |
神奈川県 湯河原町 | 66.6 | 206人 | 46.3 | 33.4% | 86.9 |
東京都 練馬区 | 66.2 | 1853人 | 90.7 | 5.5% | 41.8 |
群馬県 南牧村 | 63.8 | 5人 | 40.9 | 33.3% | 86.7 |
東京都 日の出町 | 63.7 | 168人 | 45.3 | 30.5% | 82.2 |
1位は東京都 檜原村です。引っ越してきた60歳以上人数は50人と少ないですが、その割合は引越してきた全年齢82人のうち50人、約61%です。60歳以上の人にとても選ばれやすい、老後に住みやすい街といえます。
2位は東京都 世田谷区です。とても多くの人が引っ越してくる世田谷区。全年齢だと4.4万人以上が1年間に引っ越してきます。そのなかで60歳以上の割合がまぁまぁなので、人数としては2151人と多くなっています。
ランキングを見ると大きく分けて3パターンあることが分かります。
1) 引っ越してくる人数は平均以下だけど60歳以上の割合が高い、60歳以上に選ばれやすい街。首都圏の中でもいわゆる郊外の地域が多い。
2) 60歳以上の割合は平均以下だけどそもそも引っ越してくる人が多い、人口集中している街。東京23区内など都会と分類される地域が多い。
3) その2つの中間的な地域。
それぞれを郊外型・都会型・バランス型として、老後に住みやすい街を市区町村別に詳しくランキングします。
郊外型
引越してきた60歳以上の | |||||
偏差値 平均 | 人数 | 割合 | |||
(人) | 偏差値 | (%) | 偏差値 | ||
東京都 檜原村 | 86.8 | 50人 | 42.1 | 61% | 131.5 |
東京都 奥多摩町 | 69.5 | 70人 | 42.7 | 39.3% | 96.4 |
千葉県 御宿町 | 69.3 | 73人 | 42.7 | 39% | 95.9 |
神奈川県 湯河原町 | 66.6 | 206人 | 46.3 | 33.4% | 86.9 |
群馬県 南牧村 | 63.8 | 5人 | 40.9 | 33.3% | 86.7 |
東京都 日の出町 | 63.7 | 168人 | 45.3 | 30.5% | 82.2 |
栃木県 那須町 | 62.2 | 176人 | 45.5 | 28.5% | 79.0 |
神奈川県 清川村 | 60.5 | 18人 | 41.3 | 29% | 79.8 |
山梨県 鳴沢村 | 60.1 | 27人 | 41.5 | 28.4% | 78.8 |
群馬県 下仁田町 | 59.7 | 30人 | 41.6 | 27.8% | 77.8 |
神奈川県 真鶴町 | 58.2 | 39人 | 41.8 | 25.8% | 74.6 |
山梨県 身延町 | 58.0 | 42人 | 41.9 | 25.5% | 74.1 |
山梨県 山中湖村 | 57.9 | 60人 | 42.4 | 25.1% | 73.5 |
埼玉県 ときがわ町 | 57.7 | 50人 | 42.1 | 25% | 73.3 |
千葉県 長柄町 | 56.8 | 35人 | 41.7 | 24.1% | 71.8 |
山梨県 北杜市 | 56.7 | 235人 | 47.1 | 20.7% | 66.3 |
埼玉県 神川町 | 56.7 | 96人 | 43.4 | 23% | 70.1 |
千葉県 白子町 | 56.2 | 64人 | 42.5 | 22.9% | 69.9 |
千葉県 南房総市 | 55.5 | 158人 | 45.0 | 20.5% | 66.0 |
埼玉県 美里町 | 55.4 | 74人 | 42.8 | 21.8% | 68.1 |
東京都の町村部
檜原村、奥多摩町、日の出町など東京の町村部が多くランクインしています。統計データを詳しく見ると、どの街も東京の他の街から引っ越してくる人がほとんどとなっています。移り住むにも遠い知らない街に引っ越す人はほとんどいないと言えます。
レジャーで知名度のある街
レジャーで知名度のある街というもの上位にランクインしている街の特徴です。千葉県 御宿町はリゾートマンションもあるような街、神奈川県 湯河原町は温泉街として知られた街、栃木県 那須町は自然豊かで多くのレジャー客が足を運ぶ街です。レジャーきっかけで街のことを知っているから移住の心理的ハードルが低いと考えられます。
都会型
引越してきた60歳以上の | |||||
偏差値 平均 | 人数 | 割合 | |||
(人) | 偏差値 | (%) | 偏差値 | ||
東京都 世田谷区 | 69.7 | 2151人 | 98.7 | 4.8% | 40.6 |
東京都 足立区 | 68.0 | 1903人 | 92.0 | 6.9% | 44.0 |
東京都 八王子市 | 66.7 | 1651人 | 85.2 | 9.5% | 48.2 |
東京都 練馬区 | 66.2 | 1853人 | 90.7 | 5.5% | 41.8 |
東京都 板橋区 | 63.2 | 1615人 | 84.3 | 5.7% | 42.1 |
千葉県 船橋市 | 61.6 | 1477人 | 80.5 | 6.1% | 42.7 |
東京都 町田市 | 61.5 | 1284人 | 75.3 | 9.2% | 47.7 |
東京都 大田区 | 61.0 | 1498人 | 81.1 | 5% | 41.0 |
埼玉県 川口市 | 61.0 | 1436人 | 79.4 | 6% | 42.6 |
神奈川県 藤沢市 | 60.9 | 1275人 | 75.1 | 8.5% | 46.6 |
千葉県 松戸市 | 59.4 | 1258人 | 74.6 | 7% | 44.2 |
千葉県 柏市 | 59.4 | 1230人 | 73.9 | 7.4% | 44.8 |
東京都 葛飾区 | 59.2 | 1260人 | 74.7 | 6.7% | 43.7 |
東京都 杉並区 | 58.6 | 1357人 | 77.3 | 4.4% | 40.0 |
東京都 江戸川区 | 58.6 | 1304人 | 75.9 | 5.2% | 41.3 |
神奈川県 横浜市 戸塚区 | 58.2 | 989人 | 67.4 | 10% | 49.0 |
東京都 江東区 | 58.1 | 1304人 | 75.9 | 4.6% | 40.3 |
神奈川県 横浜市 南区 | 57.6 | 1007人 | 67.9 | 8.9% | 47.3 |
神奈川県 横浜市 青葉区 | 56.6 | 969人 | 66.9 | 8.3% | 46.3 |
千葉県 千葉市 花見川区 | 56.2 | 812人 | 62.6 | 10.4% | 49.7 |
東京23区の外側
東京23区のうち外側に位置する街、世田谷区・足立区・練馬区・板橋区・大田区が上位にランクインしています。東京への人口一極集中が起きている今、老後に住む街も例外ではないということです。
計データを詳しく見ると、例えば世田谷の場合 東京の他の街から引っ越してくる人は1429人、全体の66%ですが残りの34%は他の県から引っ越してきます。利便性の高い快適な生活を求めて都心に移り住む人が多いことが分かります。
バランス型
引越してきた60歳以上の | |||||
偏差値 平均 | 人数 | 割合 | |||
(人) | 偏差値 | (%) | 偏差値 | ||
東京都 青梅市 | 61.9 | 712人 | 59.9 | 19.2% | 63.9 |
神奈川県 横浜市 中区 | 61.7 | 1186人 | 72.7 | 11% | 50.7 |
神奈川県 川崎市 中央区 | 61.1 | 1114人 | 70.8 | 11.5% | 51.5 |
千葉県 千葉市 若葉区 | 59.5 | 850人 | 63.7 | 13.9% | 55.3 |
神奈川県 横浜市 旭区 | 58.8 | 918人 | 65.5 | 11.9% | 52.1 |
神奈川県 横浜市 緑区 | 56.4 | 803人 | 62.4 | 10.9% | 50.5 |
埼玉県 さいたま市 見沼区 | 55.5 | 733人 | 60.5 | 10.9% | 50.5 |
東京都 東村山市 | 55.3 | 680人 | 59.1 | 11.5% | 51.5 |
千葉県 千葉市 稲毛区 | 55.2 | 731人 | 60.5 | 10.6% | 50.0 |
神奈川県 横浜市 泉区 | 55.2 | 618人 | 57.4 | 12.4% | 52.9 |
神奈川県 平塚市 | 54.6 | 687人 | 59.3 | 10.6% | 50.0 |
千葉県 千葉市 緑区 | 54.4 | 578人 | 56.3 | 12.1% | 52.4 |
神奈川県 横浜市 瀬谷区 | 54.3 | 533人 | 55.1 | 12.7% | 53.4 |
東京都 あきる野市 | 54.2 | 363人 | 50.5 | 15.5% | 57.9 |
埼玉県 狭山市 | 54.2 | 537人 | 55.2 | 12.5% | 53.1 |
東京都 東久留米市 | 54.0 | 551人 | 55.6 | 12.1% | 52.4 |
神奈川県 小田原市 | 53.8 | 549人 | 55.6 | 11.8% | 52.0 |
千葉県 千葉市 美浜区 | 53.6 | 601人 | 57.0 | 10.8% | 50.3 |
東京都 多摩市 | 53.5 | 565人 | 56.0 | 11.2% | 51.0 |
埼玉県 深谷市 | 53.1 | 464人 | 53.3 | 12.4% | 52.9 |
東京の市部、神奈川・千葉・埼玉の中心部
東京都の市部や、神奈川県 横浜市・川崎市、千葉県 千葉市、埼玉県 さいたま市など東京周辺の都道府県の中心部が上位にランクインしています。郊外と都心の中間的な街です。郊外に移り住む勇気は無いけど落ち着いた街に住みたい、そんな人にとって居心地の良い街といえるでしょう。
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まとめ
老後に住みやすい街はどこなのか、リアルな統計データを元にしたランキングを紹介しました。多くの人に選ばれている街にはそれぞれ魅力があるはずです。老後の住まい探しの参考にしてください。
マンションくらし研究所では東京23区のさまざまなランキングを紹介しています。統計データを元にしているので東京の街のリアルを正しく知ることができます。あわせてご覧ください。