子供に良い教育を受けさせたい。親御さんなら誰しもが持っている想いだと思います。
初めての義務教育である小学校。私立に入れるほどでは無いけど、できればしっかり教育環境が整ったところに通わせたいと考える人はたくさんいます。
教育環境の良し悪しは一概に比べることは難しいですが、参考となるデータの一つに学校教育費があります。児童一人あたりにかけられるお金が増えるほど、児童一人あたりの教員数が増えて目が届きやすくなったり、学級活動・クラブ活動・学校行事が充実して様々な体験ができるようになったりします。
そこで東京の市区ごとの学校教育費について、人件費や教育活動費など費目ごとに調査してランキングします。どの市区が何に学校教育費をたくさんかけているか知ることができます。
学校教育費とは?
ひとことで学校教育費といってもいろいろな費目があります。
資本的支出
土地、建物、設備、備品、図書館の図書など、長期間使用するもののための支出です。小学校の改築の有無によって支出が大きく変わるものであり、比較に適してないので比較対象外としています。
債務償還費
債務、つまり借金返済のための支出です。児童の教育と直接的には結びつかないので比較対象外としています。
消費的支出
毎年お金がかかるもののための支出です。この消費的支出が児童一人あたりいくら使われているかを比較してランキングしていきます。教員の人件費、学級活動・クラブ活動費、給食運営費など、児童の教育環境に関係が深いものが含まれています。
学校教育費 人件費ランキング
まずは人件費です。主には教員、教育補助員、事務職員の給与です。児童一人あたりの人件費が高いと、児童一人あたりの教員数が多くて目が届きやすくなることが期待できます。
児童一人あたり 人件費(千円/年) | |
港区 | 187 |
中央区 | 182 |
渋谷区 | 165 |
杉並区 | 134 |
新宿区 | 124 |
目黒区 | 119 |
文京区 | 114 |
立川市 | 111 |
昭島市 | 100 |
青梅市 | 99 |
中野区 | 95 |
三鷹市 | 95 |
八王子市 | 93 |
北区 | 93 |
町田市 | 90 |
千代田区 | 89 |
荒川区 | 89 |
大田区 | 87 |
国立市 | 83 |
調布市 | 82 |
港区、中央区、渋谷区など23区のなかでも都心のエリアが高くなっています。都心は子供の数が少ない傾向があります。いっぽうで教員数にはそのような傾向がないため、児童一人あたりの人件費が高くなると考えられます。
学校教育費 教育活動費ランキング
続いて教育活動費です。学級活動・クラブ活動・学校行事・遠足などの活動費、体育用品・実験用薬品などの消耗品、教員の研修旅費、パソコンなど備品のリース費があります。児童一人あたりの教育活動費が高いと、子供が体験できることの選択肢が増えることが期待できます。
児童一人あたり 教育活動費(千円/年) | |
中央区 | 130 |
港区 | 101 |
千代田区 | 87 |
荒川区 | 83 |
武蔵野市 | 80 |
品川区 | 67 |
文京区 | 63 |
新宿区 | 62 |
目黒区 | 60 |
墨田区 | 58 |
渋谷区 | 57 |
杉並区 | 54 |
福生市 | 50 |
豊島区 | 48 |
北区 | 47 |
小金井市 | 46 |
府中市 | 45 |
足立区 | 41 |
中野区 | 40 |
台東区 | 35 |
こちらも中央区、港区、千代田区といった都心エリアが上位になりました。児童一人あたりの教育活動費が高くなる要因は子供の少なさだと考えられます。
市部である武蔵野市が5位にランクインしています。住みたい街ランキングで人気の吉祥寺がある市です。子供が多いイメージがあるかもしれませんが、実は小学生は5,000人程度、中央区と同じくらいで少ないほうなのです。
学校教育費 補助活動費ランキング
続いて補助活動費です。給食の運営費、健康診断や薬品などの衛生費、スクールバス・防犯ブザー・スクールガードなどの通学関係費が含まれています。児童一人あたりの補助活動費が高いと、子供の健康や安全の保障が厚いことが期待できます。
児童一人あたり 補助活動費(千円/年) | |
墨田区 | 123 |
武蔵野市 | 112 |
北区 | 107 |
港区 | 105 |
中野区 | 98 |
板橋区 | 96 |
品川区 | 93 |
新宿区 | 93 |
豊島区 | 93 |
中央区 | 92 |
台東区 | 92 |
千代田区 | 91 |
荒川区 | 87 |
足立区 | 84 |
目黒区 | 82 |
江東区 | 75 |
文京区 | 73 |
渋谷区 | 70 |
江戸川区 | 68 |
国分寺市 | 68 |
児童一人あたりの補助活動費が一番高いのは墨田区です。東京の49市区のなかで16番目に小学生の数が多い墨田区ですが1位となっています。全体的に、子供が少ないからランキングが高いという傾向も見えません。補助活動費は学校や自治体の力の入れ具合が数字に表れやすいのかもしれません。どんな取り組みをしているのか気になる人はHPを確認してください。
学校教育費が増えている市区
お子さんが小学校に6年間通うことを通うことを考えると、そ小学校が継続的に学校教育に力を入れていくのかも気になると思います。そこで5年間の学校教育費の変化も調査します。
2013~2016年度の5年間の人件費・教育活動費・補助活動費 合計の変化率を平均すると、ベスト5は↓のようになっています。
5年間の 変化率平均 | |
千代田区 | 9.9% |
小金井市 | 6.1% |
羽村市 | 3.9% |
東大和市 | 3.8% |
小平市 | 3.3% |
グラフにすると↓のようになります。
都心で子供が少なくて一人あたりの学校教育費が高い千代田区。変化率でみるとさらにグンと高くなっていることが分かります。
2~5位は23区ではなく市部です。全体としては児童の数が少し減っている傾向があるものの、減少から増加に転じている市もあります。都心へのアクセスのしやすさと子育て環境とのバランスを考えて引っ越してくる人がいるのだと考えられます。
公立小学校の学力を、小学校名ごとに知りたい人は↓のランキングが参考になります。学区ごとの年収平均が載っているので、小学校ごとの学力の高さを推測できます。
区のベスト1はすぐ見ることができます。2位以降のデータを見るには会員登録が必要です。名前・メールアドレス・住所などの入力が必要ですが、1分程度で完了します。お子さんの将来のため、今ひと手間かけてみてはいかがでしょうか?登録は無料です。
まとめ
東京都内で小学校教育にかける予算が多い市区はどこなのか紹介しました。小学校はお子さんにとって初めての義務教育であり、6年間もの長い間通う場所です。親御さんとしてはいろいろ心配になると思います。事実にもとづいた正確な情報を参考にしてください。
マンションくらし研究所では、東京の49つの市区別に私立中学校への進学率も紹介しています。あわせてご覧ください。