実質賃金は上がってる?日本全国の実質賃金の推移、東京との比較


景気が良くなった、給料が増えた、生活が豊かになったという話をするときに考慮しなくてはいけないのは「実質賃金」です。給料の金額だけで生活の豊かさは計れません。場合によっては給料が増えたけど生活が貧しくなるケースもあります。実質賃金とは何なのか、どのように推移しているのかを紹介します。

また、多くの人が住んでいる東京は全国と比べてどのような違いがあるのかも紹介します。いろいろな物が高いというイメージの強い東京。そこに住んでいる人は豊かになっていっているのかを分析します。

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実質賃金とは?

実際の賃金ではなく、経済指標

「実質賃金」とは、そのときの経済状況を考慮して算出した賃金のことです。実際に手に入るお金の額とは違います。経済的な動きを知るための指標です。なんだか分かりにくいですね。

対になる言葉として「名目賃金」があります。これは実際に手に入るお金の額です。あなたの今月の給料が手取り20万円だった場合、名目賃金は20万円となります。とても分かりやすいですね。

変化を正しく知れる

なぜ分かりにくい「実質賃金」というものがあるのかというと、人が豊かになったのかを正しく知るためです。

例えば、あなたの賃金が20万円から30万円に増えたとします。収入が1.5倍になるわけですが、豊かさも1.5倍になるのでしょうか?答えはNoです。なぜなら物価を考慮していないからです。

賃金が20万円のとき、500円の牛丼を400杯食べることができます。いっぽう賃金が30万円に増えると同時に牛丼の値段が750円になったら、何杯食べることができるでしょうか?同じく400杯です。あなたの豊かさは変わらないのです。

賃金の変化だけでは豊かさの変化が分かりません。実質的な豊かさの変化を知るために、実質賃金を知る必要があるのです。

変化は日々起きている

そんな極端なことが起きるわけないと思っていませんか?大学卒の公務員の初任給をみると、1980年は97,000円ですが2015年は181,200円、約2倍になっています。

数十年のあいだにもこれだけ大きな変化が起きているのです。あなたが社会人として働き始めてから定年を迎えるまでのあいだにも、これくらいの大きな変化が起きるかもしれません。

日本人の賃金推移

日本人の賃金はここ数年でどのように変化しているのでしょうか。まずは名目賃金(=実際の収入)をみてみます。

厚生労働省では日本人の賃金がいくらなのかをまとめています。そのデータを元に、日本人の名目賃金の推移をグラフにしたのが↓です。日本で一番たくさん人が集まる東京は、なにか特殊な傾向があるかもしれません。なので全国平均と東京平均とをグラフにしています。(青いラインが全国平均、赤いラインが東京だけの平均です)

全国の名目賃金の推移

全国平均をみてみると、2008年から2015年まで賃金はほとんど変わっていません。2008年の賃金平均29.9万円/月にたいして2015年は30.4万円/月です。ここ数年は横ばいであるということができます。

東京の名目賃金の推移

東京だけでみるとどうでしょう。東京は全国平均に比べて賃金が高いです。だいたい25%くらい高くなっています。東京には大手企業・外資企業など給与が高い仕事が多いので高くなっていると考えられます。

年々の推移をみると、2013年までは全国平均と同じく横ばいです。しかし2014、2015年は増加しています。2008年の36.6万円/月にたいして2014年は37.7万円、2015年は38.3万円です。直近の2年だけですが、賃金が増加傾向にあるといえます。

日本の物価推移

繰り返しになりますが、豊かさの変化を知るためには物価の推移も考慮する必要があります。ここ数年、物価がどのように変化しているのかをみてみます。

総務省 統計局では消費者物価指数をまとめています。そのデータを元に、日本の物価推移をグラフにしたのが↓です。2008年の物価を100としたとき、その後どのように変化したのかを表しています。また、先ほどと同じように全国平均と東京平均とをグラフにしています。(青いラインが全国平均、赤いラインが東京だけの平均です)

全国の物価の推移

2008年を基準にすると、2011~2012年まで物価が下がり続けていたことが分かります。物価指数は97.6まで下がっています。2008年と比べて約2.5%物価が下がったのです。その後は上昇に転じていて、2015年は101.5まで上がっています。

安倍首相のアベノミクスが目指したデフレからの脱却。長年続いていた物価の下落を上昇へと転換させた、という意味では狙い通りの結果といえるのかもしれません。

東京の物価の推移

東京の物価の推移は、全国とは少し違う傾向がみえます。物価下落の底は2012年~2013年となっていて全国平均より1年遅いのです。下がり幅も全国より大きいです。2012年の物価指数は96.9、2008年と比べて約3%も物価が下がったことになります。

さらに言うと物価の上昇幅も小さいです。2015年の物価指数は99.9となっていて、2008年と同じくらいの物価です。全国的には101.5まで物価上昇していますが、東京はそこまでは上がっていないのです。全国と比べると物価が上昇しにくいといえます。

東京はもともと物価が高い地域です。なので物価が下がりやすく上がりにくい傾向があるのではないかと考えられます。

実質賃金の推移

ここ数年をみると、名目賃金(=実際の収入)は全国・東京ともに継続的な傾向はみえませんでした。物価の変化も考慮した、実質賃金の場合はどうなのでしょうか。人々が豊かになっているのかどうか、実質賃金の推移をみてみます。

名目賃金と物価のデータを元に、実質賃金の推移をグラフにしたのが↓です。(青いラインが全国平均、赤いラインが東京だけの平均です)

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全国の実質賃金の推移

2008年から2015年まで、大きな変化はありません。2008年に29.3万円だった実質賃金は、2015年になっても29.3万円です。全国的にみると、ここ数年では豊かさは変わっていないということができます。

東京の実質賃金の推移

東京のグラフをみると、とてもゆるやかですが右肩上がりになっていることが分かります。2008年に35.8万円だった実質賃金は、2015年には37.5万円になっています。実質賃金が約5%増えたということです。

名目賃金でみると、東京は直近の2年間だけ増えていました。しかし実質賃金で豊かさの変化を正しく計ってみると、数年間にわたって継続的に増えているということが分かりました。

<補足>
人の幸せとは金銭的な豊かさだけで満たされるものではありません。時間・空間・精神などの豊かさから得られる幸せもたくさんあります。この記事の分析結果は金銭的なことのみに焦点をあてた場合のものであり、東京に住むことこそが幸せだと主張するものではありません。

東京で物価が下がっているもの

ひとことで物価といってもいろいろな物の価格があります。先ほどは全体的な変化を紹介しましたが、ここでは品目ごとの変化を紹介します。消費者物価指数のデータを使って、東京で物価が上がっているもの・下がっているものを詳しくみてみます。

物価が下がっているものによりお金をかけ、上がっているものは節約すれば、より快適な生活が送れるかもしれません。


物価が下がっているもの

・住居費

住居費は全国的に下がっていて、2008年から2015年で1.5%下落しています。そんな中で東京は3.4%も下落しています。もともと住居費が高い東京ですが、お手頃に住める地域が増えていっているのかもしれません。

・家具費

家具費は全国的に下がっていて、2008年から2015年で11.8%下落しています。そんな中で東京は16.0%も下落しています。全国的に下がっている要因はIKEAやニトリなどの家具チェーンかもしれません。東京にはたくさん店舗があるのでいろいろな物を安く購入しやすいですね。

物価が上がっているもの

・光熱費

光熱費は全国的に上がっていて、2008年から2015年で11.2%上昇しています。そんな中で東京は13.7%も上昇しています。家計を圧迫しないようにウマく節約したいですね。

まとめ

金銭的に豊かになったのかを知るためには、実際の賃金の額ではなく、物価も考慮した実質賃金をみる必要があります。それにより年々の変化を数字で正しく知ることができます。

自分のライフスタイルに合った快適な生活を送るために、まずは事実を知ることが大切ではないでしょうか。

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