東京や都心部に住むにはお金がかかる、住民税も高そう、、そんなイメージを持っていませんか? 特別区とも言われる東京23区の住民税について詳しく解説します。
本当に都心部は住民税が高いのか、税収が多くて財政が安定しているのはどの区なのか知ることができます。
東京23区の住民税
住民税とは、都や区による行政サービスの費用の一部を住民が分担して払うものです。公平性を保つため、分担額は支払能力(=所得金額)によって決まります。
逆に言うと、東京だから・都心だから住民税が高いなんてことはありません。詳しく解説していきます。
住民税の税率・税額
住民税の内訳は、区に収める区市町村民税と都に収める都民税に分かれています。また所得金額によって変動する所得割と、誰でも同じ金額の均等割に分かれています。
これら東京都の住民税の内訳を表にすると↓のようになります。
区市町村民税 (特別区民税) | 都民税 | 合計 | |
所得割 | 課税所得×6% | 課税所得×4% | 課税所得×10% |
均等割 | 3500円 | 1500円 | 5000円 |
この税率・税額は東京都のどの地域でも同じです。都心部だから住民税が高いなんてことは無いのです。住民税の額は主に所得金額によって変わります。
これは全国的にも似たようなことが言えます。所得割は10~10.5%、均等割は5000~6200円の範囲です。住民税が高い地域であっても年額で数千円程度しか変わらないのです。
住民税の計算方法
住民税の計算方法をザックリ解説します。日本の平均年収である420万円の場合を例にして、住民税が何円になるか計算していきます。
住民税は所得割と均等割の合計です。
住民税 = 所得割 + 均等割(5000円)
所得割は課税所得の多さによって変わります。
所得割 = 課税所得 × 税率(10%)
課税所得は収入の多さによって変わります。勘違いしやすいのですが収入と所得は違います。収入から控除分を引いたものが課税所得となります。
ザックリ言うと、税金は収入の全額ではなく一部に対してかかるものだということです。受けられる控除が多くなるほど課税所得が低くなるので税金も安くなります。
課税所得 = 収入 - 控除
会社員の人が受けられる控除で主なものは次のようなものです。
基礎控除
住民税の基礎控除は33万円です(ちなみに所得税の場合は38万円)。
給与所得控除
給与所得控除は収入の多さによって↓のように変わります。
給与収入額 | 給与所得控除額 |
~162.5万円 | 65万円 |
162.5~180万円 | 収入額×40% |
180~360万円 | 収入額×30%+18万円 |
360~660万円 | 収入額×20%+54万円 |
660~1000万円 | 収入額×10%+120万円 |
1000万円~ | 220万円 |
年収420万円の場合は138万円です。
420万円 × 20% + 54万円 = 138万円
社会保険料控除
社会保険(厚生年金保険、健康保険など)に支払った分は控除されます。金額は年収の約14%が目安です。年収420万円の場合は58.8万円です。
420万円 × 14% = 58.8万円
以上をもとに住民税を計算すると↓のようになります。
課税所得 = 収入(420万円)- 控除(33+138+58.8万円)= 190万円
所得割 = 課税所得(190万円)× 税率(10%)= 19万円
住民税 = 所得割(19万円)+ 均等割(5000円)= 19.5万円/年
東京23区 住民税が多い区ランキング
住民税は東京23区どの地域であっても同じであると分かりました。
どこに住むか考えるとき、税金関連でもう1つ気になるのが区市町村の財政です。財政がしっかりしていれば、防犯・防災・環境・保育・教育、医療・福祉など行政サービスが手厚く安定的に提供されると期待できます。
区の収入には大きく分けて2種類あります。住民税(区民税)のように区が直接徴収するもの自主財源と、東京都や国から貰うもの依存財源です。自主財源の割合が高いほど財政は安定と言われています。
区の財政において住民税(区民税)はとても重要です。自主財源であり、しかも収入で1番大きいものだからです。住民税(区民税)の割合が多い区はどこなのかランキングすると↓のようになります。
区民税 (億円) | 歳入合計 (億円) | 区民税割合 | |
目黒区 | 434 | 974 | 44.6% |
渋谷区 | 462 | 1050 | 44.0% |
港区 | 732 | 1882 | 38.9% |
世田谷区 | 1196 | 3096 | 38.6% |
文京区 | 320 | 943 | 34.0% |
杉並区 | 639 | 1996 | 32.0% |
千代田区 | 159 | 535 | 29.7% |
新宿区 | 430 | 1474 | 29.2% |
大田区 | 682 | 2557 | 26.7% |
中野区 | 333 | 1270 | 26.2% |
品川区 | 436 | 1698 | 25.7% |
練馬区 | 621 | 2551 | 24.3% |
中央区 | 260 | 1071 | 24.2% |
豊島区 | 295 | 1223 | 24.1% |
江東区 | 464 | 2018 | 23.0% |
板橋区 | 437 | 2193 | 19.9% |
北区 | 273 | 1454 | 18.8% |
墨田区 | 219 | 1174 | 18.7% |
江戸川区 | 493 | 2701 | 18.2% |
台東区 | 181 | 1002 | 18.0% |
荒川区 | 153 | 941 | 16.3% |
足立区 | 426 | 2797 | 15.2% |
葛飾区 | 317 | 2121 | 14.9% |
東京23区のなかで区民税割合が1番高いのは目黒区です。区の収入のうち45%が区民税によるものです。自主財源の割合が多い、財政が安定している地域だということです。
この区民税とは、住民税(課税所得×10%)のうち6%の分です。残りの4%分はまず東京都に収められ、そのあと各区に配られます。東京都の行政によって配る割合が決定されるのです。
東京23区 住民税の高額納税ランキング
住民税は収入によって変わります。つまり住民税(区民税)を比べると、区ごとの平均年収の違いを推測できるということです。
住民税(区民税)を高額納税している人が多い、平均年収が高い区をランキングすると↓のようになります。
区民税 (億円) | 納税義務者数 (万人) | 1人あたり 区民税 | |
港区 | 732 | 14.3 | 51.3万円 |
千代田区 | 159 | 3.6 | 43.8万円 |
渋谷区 | 462 | 13.3 | 34.8万円 |
中央区 | 260 | 9.1 | 28.5万円 |
目黒区 | 434 | 16.2 | 26.7万円 |
文京区 | 320 | 12.2 | 26.4万円 |
世田谷区 | 1196 | 49.7 | 24.0万円 |
新宿区 | 430 | 18.5 | 23.3万円 |
杉並区 | 639 | 32.1 | 19.9万円 |
品川区 | 436 | 22.6 | 19.3万円 |
豊島区 | 295 | 16.0 | 18.4万円 |
中野区 | 333 | 18.7 | 17.8万円 |
大田区 | 682 | 40.3 | 16.9万円 |
江東区 | 464 | 27.4 | 16.9万円 |
台東区 | 181 | 10.8 | 16.8万円 |
練馬区 | 621 | 37.7 | 16.5万円 |
墨田区 | 219 | 14.7 | 14.9万円 |
板橋区 | 437 | 29.6 | 14.7万円 |
北区 | 273 | 18.6 | 14.7万円 |
江戸川区 | 493 | 34.8 | 14.2万円 |
荒川区 | 153 | 11.0 | 14.0万円 |
葛飾区 | 317 | 23.1 | 13.7万円 |
足立区 | 426 | 33.6 | 12.7万円 |
東京都総務局
平均年収が高いと推測できる、住民税の高額納税トップは港区です。東京23区の平均が19.6万円なので平均の2.6倍の多さということです。
ネット上には詳しいランキングを紹介しているサイトがあります。お子さんの将来も見すえて住む地域を考えたい人は↓のランキングも参考になります。学区ごとの年収平均が載っているので、小学校ごとの学力の高さを推測できます。
ベスト1はすぐ見ることができます。2位以降のデータを見るには会員登録が必要です。名前・メールアドレス・住所などの入力が必要ですが、1分程度で完了します。登録は無料です。
会員登録するとさらに「東京23区 駅ごと 認可保育園の待機児童が少ない駅ランキング」も見れるようになります。お子さんの将来のため、今ひと手間かけてみてはいかがでしょうか?
まとめ
東京23区の住民税について詳しく解説しました。住民税は日本全国どこに住んでもほとんど変わりません。お金のある自治体ほど行政サービスが充実する期待ができます。住民税がたくさん集まる都心は実はコスパが良い一面を持っているとも言えます。
その街に安心して住み続けられるのか、それを考えるとき気になるのが区の財政です。東京23区 財政安定度ランキングもあわせてご覧ください。3つの視点から東京23区の財政の安定度を解説しています。
マンションくらし研究所では東京23区のさまざまなランキングを紹介しています。統計データを元にしているので東京の街のリアルを正しく知ることができます。あわせてご覧ください。