その街は将来にわたって安心して住み続けられるところなのか、それをはかる指標の1つが財政の安定度です。
防犯・防災・環境・保育・教育、医療・福祉など行政サービスは安定した財政によって継続的に提供されます。23区の財政について詳しく解説していきます。どの区がどんな財政状況なのか実態を知ることができます。
東京23区の財政 歳入ランキング
財政に関わる項目は大きく分けて2つ、歳入と歳出があります。歳入とは区にとっての収入のことです。歳出とは支出のことで、行政サービスや給付金に使われます。
東京23区 歳入ランキング
区の行政も一般家庭と同じで収入がなければ成り立ちません。東京23区の歳入ランキングは↓のようになっています。
特別 区民税 (億円) | 特別区 交付金 (億円) | 使用料 手数料 (億円) | 国庫 支出金 (億円) | 都 支出金 (億円) | 歳入 合計 (億円) | |
世田谷区 | 1196 | 465 | 56 | 452 | 238 | 3096 |
足立区 | 426 | 1004 | 42 | 645 | 201 | 2797 |
江戸川区 | 493 | 902 | 42 | 537 | 167 | 2701 |
大田区 | 682 | 700 | 86 | 464 | 179 | 2557 |
練馬区 | 621 | 827 | 51 | 485 | 187 | 2551 |
板橋区 | 437 | 664 | 52 | 457 | 144 | 2193 |
葛飾区 | 317 | 749 | 31 | 380 | 145 | 2121 |
江東区 | 464 | 594 | 39 | 320 | 121 | 2018 |
杉並区 | 639 | 416 | 37 | 295 | 152 | 1996 |
港区 | 732 | 40 | 78 | 121 | 80 | 1882 |
品川区 | 436 | 408 | 41 | 311 | 150 | 1698 |
新宿区 | 430 | 282 | 41 | 278 | 104 | 1474 |
北区 | 273 | 497 | 29 | 265 | 96 | 1454 |
中野区 | 333 | 355 | 19 | 237 | 97 | 1270 |
豊島区 | 295 | 288 | 34 | 207 | 96 | 1223 |
墨田区 | 219 | 384 | 22 | 223 | 82 | 1174 |
中央区 | 260 | 145 | 74 | 131 | 71 | 1071 |
渋谷区 | 462 | 42 | 57 | 116 | 70 | 1050 |
台東区 | 181 | 289 | 37 | 219 | 77 | 1002 |
目黒区 | 434 | 123 | 23 | 121 | 70 | 974 |
文京区 | 320 | 171 | 20 | 112 | 60 | 943 |
荒川区 | 153 | 381 | 22 | 177 | 65 | 941 |
千代田区 | 159 | 38 | 52 | 39 | 26 | 535 |
それぞれの項目の意味を解説します。
特別区民税
いわゆる区民税です。東京23区は「特別区」と呼ばれているため特別区民税という呼び名になっています。
区民が収める住民税は、内訳としては区に収める分と都に収める分にわかれています。そのうち区に収める分がこの特別区民税です。
特別区交付金
東京23区が個別の地域ではなく1つの大都市地域として発展していくため、都から交付されるお金です。
固定資産税、法人分の区市町村民税、特別土地保有税として都に収められたものから、行政水準にもとづいて交付されます。
使用料および手数料
区が運営する施設の使用料や手数料の収入です。区民会館、区営スポーツセンター、区営駐車場、区営住宅、区立幼稚園、書類発行手数料などがあります。
国庫支出金
国から支給されるお金です。国の施策などによって使い道が決められています(福祉保健、教育、子育て、都市整備など)。
都支出金
都から支給されるお金です。都の施策などによって使い道が決められています。
1人あたりの歳入ランキング
区の収入である歳入は人口による影響が大きいです。歳入のなかで大きな割合を占めるのが区民税だからです。なので歳入ランキングは人口の多さとの関係が深くなっています。
財政の安定という観点では、1人あたりの歳入も重要です。1人あたりの歳入が多ければ、住民1人あたりが受けられる行政サービスが充実しやすいと考えられるからです。
1人あたりの歳入をランキングすると↓のようになります。
歳入合計 (億円) | 人口 (万人) | 1人あたり歳入 (万円) | |
千代田区 | 535 | 5.8 | 91.6 |
港区 | 1882 | 24.3 | 77.4 |
中央区 | 1071 | 14.1 | 75.9 |
台東区 | 1002 | 19.8 | 50.6 |
葛飾区 | 2121 | 44.3 | 47.9 |
渋谷区 | 1050 | 22.5 | 46.8 |
墨田区 | 1174 | 25.6 | 45.8 |
荒川区 | 941 | 21.2 | 44.3 |
新宿区 | 1474 | 33.4 | 44.2 |
品川区 | 1698 | 38.7 | 43.9 |
文京区 | 943 | 22 | 42.9 |
北区 | 1454 | 34.1 | 42.6 |
豊島区 | 1223 | 29.1 | 42.0 |
足立区 | 2797 | 67 | 41.7 |
江東区 | 2018 | 49.8 | 40.5 |
江戸川区 | 2701 | 68.1 | 39.6 |
板橋区 | 2193 | 56.2 | 39.0 |
中野区 | 1270 | 32.8 | 38.7 |
大田区 | 2557 | 71.7 | 35.7 |
杉並区 | 1996 | 56.4 | 35.4 |
練馬区 | 2551 | 72.2 | 35.3 |
目黒区 | 974 | 27.8 | 35.1 |
世田谷区 | 3096 | 90.3 | 34.3 |
東京23区の財政 自主財源率ランキング
財政の安定という観点でもう1つ見ておきたいのが自主財源率です。
自主財源とは、外部要因に依存することなく区が自主的に徴収できる財源のこと。主なものは特別区民税、使用料・手数料です。自主財源の割合が高いほど財政は安定と言われています。
自主財源 | : | 区が直接徴収するお金 |
依存財源 | : | 都や国から貰うお金 |
東京23区の自主財源率をランキングすると↓のようになります。
自主財源率 | |
渋谷区 | 49.4% |
目黒区 | 46.9% |
港区 | 43.0% |
世田谷区 | 40.5% |
千代田区 | 39.3% |
文京区 | 36.1% |
杉並区 | 33.8% |
新宿区 | 31.9% |
中央区 | 31.2% |
大田区 | 30.1% |
品川区 | 28.0% |
中野区 | 27.7% |
豊島区 | 26.9% |
練馬区 | 26.3% |
江東区 | 24.9% |
板橋区 | 22.3% |
台東区 | 21.8% |
北区 | 20.7% |
墨田区 | 20.6% |
江戸川区 | 19.8% |
荒川区 | 18.7% |
足立区 | 16.7% |
葛飾区 | 16.4% |
東京23区の財政 安定度ランキング
財政の安定という観点では将来性も気になります。
歳入のなかで大きな割合を占める区民税、これは住民の所得が多くなると増えます。つまり将来の働き世代が多い区であれば、将来的にも財政が安定すると期待できるということです。
東京23区 若年度ランキング
若年者=15歳未満、高齢者=65歳以上として、若年者の比率が多い区をランキングすると↓のようになります。全年齢ではなく高齢者と比較しているのは年齢構成を考慮するためです。
15歳未満 | 65歳以上 | 若年者の比率 (15歳未満/65歳以上) | |
中央区 | 11.9% | 16.1% | 0.74 |
港区 | 12.3% | 17.5% | 0.70 |
江戸川区 | 13.3% | 20.4% | 0.65 |
千代田区 | 11.5% | 17.6% | 0.65 |
江東区 | 12.5% | 21.1% | 0.59 |
文京区 | 10.7% | 19.1% | 0.56 |
練馬区 | 11.9% | 21.9% | 0.54 |
世田谷区 | 10.7% | 20.4% | 0.53 |
目黒区 | 10.3% | 19.9% | 0.52 |
品川区 | 10.4% | 20.2% | 0.52 |
大田区 | 10.7% | 22.1% | 0.48 |
荒川区 | 11.1% | 23.1% | 0.48 |
足立区 | 11.8% | 24.6% | 0.48 |
葛飾区 | 11.8% | 24.6% | 0.48 |
板橋区 | 10.5% | 22.8% | 0.46 |
墨田区 | 10.4% | 22.7% | 0.46 |
杉並区 | 9.7% | 22.1% | 0.44 |
渋谷区 | 8.5% | 19.6% | 0.44 |
豊島区 | 8.2% | 19.7% | 0.41 |
新宿区 | 8.1% | 19.6% | 0.41 |
中野区 | 8.1% | 20.6% | 0.39 |
北区 | 9.8% | 25.5% | 0.39 |
台東区 | 8.9% | 23.5% | 0.38 |
東京23区 財政安定度ランキング
以上のように、東京23区の財政を1人あたり歳入・自主財源率・若年者の比率の3つの視点で見たとき、総合ランキングは↓のようになります。
1人あたり 歳入 | 自主 財源率 | 若年者の 比率 | 平均 | |
港区 | 2位 | 3位 | 2位 | 2.3位 |
千代田区 | 1位 | 5位 | 4位 | 3.3位 |
中央区 | 3位 | 9位 | 1位 | 4.3位 |
文京区 | 11位 | 6位 | 6位 | 7.7位 |
渋谷区 | 6位 | 1位 | 18位 | 8.3位 |
品川区 | 10位 | 11位 | 10位 | 10.3位 |
目黒区 | 22位 | 2位 | 9位 | 11.0位 |
江東区 | 15位 | 15位 | 5位 | 11.7位 |
世田谷区 | 23位 | 4位 | 8位 | 11.7位 |
新宿区 | 9位 | 8位 | 20位 | 12.3位 |
江戸川区 | 16位 | 20位 | 3位 | 13.0位 |
大田区 | 19位 | 10位 | 11位 | 13.3位 |
荒川区 | 8位 | 21位 | 12位 | 13.7位 |
練馬区 | 21位 | 14位 | 7位 | 14.0位 |
葛飾区 | 5位 | 23位 | 14位 | 14.0位 |
墨田区 | 7位 | 19位 | 16位 | 14.0位 |
杉並区 | 20位 | 7位 | 17位 | 14.7位 |
台東区 | 4位 | 17位 | 23位 | 14.7位 |
豊島区 | 13位 | 13位 | 19位 | 15.0位 |
板橋区 | 17位 | 16位 | 15位 | 16.0位 |
足立区 | 14位 | 22位 | 13位 | 16.3位 |
中野区 | 18位 | 12位 | 21位 | 17.0位 |
北区 | 12位 | 18位 | 22位 | 17.3位 |
ベスト3は港区、千代田区、中央区の超都心エリアという結果になりました。自主財源率が高い上に、国や都からの交付金によって1人あたりの歳入が引き上げられている。さらに都心への人口集中を背景に、子育て世代の割合が多くなっていることが要因として考えられます。
ネット上には詳しいランキングを紹介しているサイトがあります。お子さんの将来も見すえて住む地域を考えたい人は↓のランキングも参考になります。学区ごとの年収平均が載っているので、小学校ごとの学力の高さを推測できます。
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まとめ
東京23区の財政について詳しく解説しました。各区のホームページでは財政に関する詳しい情報を公開していますが、難しくて見づらいと感じる人もいると思います。本記事を参考にしてください。
区の財政において大きな収入である住民税。詳しく知りたい人は東京23区の住民税ランキングをご覧ください。区によって住民税の額は違うのか現実を知ることができます。
マンションくらし研究所では東京23区のさまざまなランキングを紹介しています。統計データを元にしているので東京の街のリアルを正しく知ることができます。あわせてご覧ください。