不動産価格は土地部分と建物部分にわけられます。そのうち年月が経ったとしても価格上昇の可能性があるのが土地です。どんな地域なら地価上昇が期待できるのでしょうか?
地価の変動と人口の増減には密接な関係があります。人口予測をみれば、将来的な地価上昇が期待できる地域はどこか明らかになります。
2040年までに東京のどの街で地価が何%上昇するのか予測ランキングを紹介します。イメージではなくデータをもとにした予測を知ることができます。
不動産・土地価格が変動する要因
不動産や土地の価格は年月によって変化します。その理由はひとことでいえば需要と供給のバランスですが、性質的には2つの要素を含んでいます。
経済状況
1つめは経済状況です。景気の動向・国の政策・金利などさまざまな要因によって不動産や土地に対する需要・供給のバランスが変わります。
↓は東京の住宅地の地価平均の推移です。
作成:マンションくらし研究所
地価の大きな変動の背景には、バブル景気やリーマンショックなど経済状況の大きな動きがあることが分かります。
住みたい需要
先ほどのグラフを見ると、バブル景気とリーマンショックの前後を除けば東京の地価はゆるやかに右肩上がりになっていることが分かります。
東京一極集中といわれるように東京の人口は増えています。住みたい需要が増えているということです。これが地価上昇の下支えとなっています。
住みたい需要を数値的に計る方法として人口増減率があります。地価と人口増減にはどのような関係があるのでしょうか? 詳しく解説していきます。
地価の上昇・下落と人口増減の関係
東京23区と市部、合計49市区について地価と人口増減の関係を分析します。
バブル景気後の底である2005年と2018年を比較して、地価と人口が何%変動したのか地域ごとにプロットすると↓のようになります。
2005年と2018年で1番地価が上昇したのは港区です。地価は92%上昇、約2倍になりました。そのあいだ人口は48%増加しています。
グラフを見ると、人口が増えている地域ほど地価が上昇している傾向がはっきり出ていることが分かります。バブル景気やリーマンショックのような歴史的な経済状況の急変を除けば、地価の変動と人口の増減は密接に関係しているのです。
その地域の将来価値を予測するうえで考慮が必要なのが年齢構成です。そこで地価と人口の関係を年齢別に詳しくみてみます。
0~14歳
15~64歳
0~14歳の若者世代・15~64歳の働き世代については人口が増えるほど地価が上昇することがわかります。
例えば0~14歳の若者世代の場合、人口増減が0%だと地価は8.2%上昇、人口増加が10%増えるごとに地価は8.6%上昇する傾向があります。
65歳以上
65歳以上の高齢世代については、千代田区・港区・中央区の超都心部を除いて、人口が増えるほど地価が下落することがわかります。
人口増減0%だと地価は51.3%上昇ですが、人口増加が10%増えるごとに地価は7.0%減る傾向があります。
人口予測から地価を予測できる
東京都 総務局 統計部では、将来の人口予測を区市町村ごと・年齢別に予測しています。統計手法にもとづいた予測なので一定の信頼がおける数値です。
この数値をさきほどの傾向にあてはめると、住みたい需要によっておこる地価の上昇・下落を予測することができます。
この予測をもとに、東京のどの地域の地価が何%上昇するのかランキングしていきます。
東京で地価上昇が予測される街ランキング
若者世代・働き世代・高齢世代の人口増減をもとに、2015年から2040年にかけた地価上昇率をランキングすると↓のようになります(それぞれの世代の人口割合を考慮して地価上昇率を算出しています)。
人口増減率(%) | 地価上昇率(%) | |||
---|---|---|---|---|
0~14歳 | 15~64歳 | 65歳以上 | ||
千代田区 | +56 | +64 | +59 | +80.5 |
中央区 | +43 | +39 | +80 | +52.3 |
港区 | +33 | +34 | +67 | +47.0 |
台東区 | ▲-1 | ▲0 | +11 | +34.1 |
江東区 | +3 | +8 | +23 | +26.0 |
文京区 | +14 | +13 | ▲0 | +23.9 |
渋谷区 | ▲-5 | +1 | +9 | +23.9 |
北区 | +6 | +11 | +31 | +22.2 |
板橋区 | +4 | +6 | +26 | +21.8 |
品川区 | ▲-1 | +3 | +11 | +21.8 |
目黒区 | ▲-7 | ▲-3 | +17 | +21.0 |
荒川区 | ▲-21 | ▲-14 | +54 | +20.9 |
墨田区 | +10 | +9 | +36 | +19.4 |
豊島区 | +4 | ▲-2 | +16 | +19.2 |
新宿区 | ▲-9 | ▲-5 | +14 | +17.9 |
中野区 | +3 | +0 | +4 | +15.5 |
大田区 | +2 | +0 | ▲0 | +14.0 |
杉並区 | ▲-4 | +1 | +3 | +13.1 |
狛江市 | +3 | +4 | +16 | +10.4 |
葛飾区 | ▲-12 | ▲-9 | +30 | +9.4 |
日野市 | ▲-17 | ▲-11 | +14 | +9.3 |
武蔵野市 | ▲-14 | ▲-8 | +16 | +8.2 |
足立区 | ▲-17 | ▲-10 | +22 | +7.7 |
小平市 | ▲-36 | ▲-25 | +18 | +7.2 |
清瀬市 | ▲-23 | ▲-13 | +29 | +5.9 |
小金井市 | ▲-9 | ▲-7 | +29 | +5.7 |
江戸川区 | ▲-17 | ▲-14 | +30 | +5.5 |
練馬区 | ▲-46 | ▲-35 | +13 | +5.4 |
調布市 | ▲-18 | ▲-13 | +31 | +4.7 |
東大和市 | ▲-29 | ▲-25 | +9 | +4.4 |
国分寺市 | ▲-14 | ▲-9 | +33 | +4.1 |
立川市 | ▲-34 | ▲-16 | +27 | +2.5 |
あきる野市 | ▲-9 | ▲-9 | +32 | +1.2 |
稲城市 | ▲-11 | ▲-8 | +26 | +1.1 |
府中市 | ▲-11 | ▲-6 | +30 | +0.6 |
西東京市 | ▲-43 | ▲-33 | +7 | +0.4 |
武蔵村山市 | ▲-14 | ▲-10 | +35 | +0.3 |
三鷹市 | ▲-22 | ▲-22 | +32 | ▲0.0 |
町田市 | ▲-62 | ▲-50 | +18 | ▲-0.7 |
東久留米市 | ▲-6 | ▲-7 | +22 | ▲-1.7 |
世田谷区 | ▲-21 | ▲-14 | +13 | ▲-3.5 |
昭島市 | ▲-27 | ▲-14 | +12 | ▲-5.5 |
国立市 | ▲-27 | ▲-23 | +6 | ▲-7.9 |
八王子市 | ▲-36 | ▲-16 | +14 | ▲-7.9 |
多摩市 | ▲-37 | ▲-30 | +9 | ▲-9.6 |
羽村市 | ▲-20 | ▲-9 | +51 | ▲-11.9 |
東村山市 | ▲-40 | ▲-29 | +15 | ▲-13.2 |
青梅市 | ▲-32 | ▲-20 | +4 | ▲-14.4 |
福生市 | ▲-21 | ▲-14 | +33 | ▲-31.8 |
最も地価が上昇すると予測されるのが千代田区です。超都心エリアなので人口としては約6万人と東京23区で1番少ないですが、2015年から2040年にかけては約60%増加すると予測されています。それにともない地価は80%上昇、約2倍になると予測できます。
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まとめ
東京23区と市部の将来的な地価について、人口増減率をもとに予測しました。人口の増減と地価の上昇・下落には密接な関係があります。人口の変化に注目すればあるていど未来の地価を予測できるようになります。ぜひ参考にしてください。
東京の市区ごとの地価推移を知りたい人は 東京の地価推移・上昇率マップをご覧ください。地価上昇率を地図に色表示しているので一目でイメージをつかむことができます。