共働き世帯が年々増加している、そんな話をよく聞きますよね? 女性の社会進出、男性の育児・家事参加、「働く」ことにたいする意識は変化しています。
共働き世帯の割合はどれくらいなのでしょうか? 共働き率やその推移について、フルタイムなどの労働時間別、子持ち世帯などの家族構成別に詳しく紹介します。いまの共働き世帯の実態を知ることができます。
共働き世帯数・割合の推移
一般的に、共働き世帯とは夫が会社勤めをしていて、妻がフルタイムもしくはパートタイムで働いている世帯のことです。
本記事ではいわゆるサラリーマン世帯の共働きの実態を知ることを目的に、夫・妻ともに雇用者(会社に雇われて賃金を得ている者)の世帯を共働きとして調査しています。自営業の世帯は含まれていません。
日本の共働き率
共働き世帯の数とその割合の変化をグラフにすると↓のようになります。水色:夫が雇用者の世帯全体、青:そのうち妻も雇用者(=共働き)の世帯、オレンジ:共働きの割合です。
作成:マンションくらし研究所
2000年、夫が雇用者であるのは1950万世帯、そのうち妻が雇用者であるのは940万世帯、共働きの割合は48%でした。ざっくり言うとサラリーマン世帯のうち約半分は共働きで、奥さんはフルタイムやパートタイムで働いていたということです。
それが2019年には1910万世帯のうち1250万世帯が共働きとなっています。全体の世帯数はほとんど変わらない中で共働き世帯の数は右肩上がりに増え、共働き率は66%までになっています。サラリーマン世帯のうち2/3が共働きになったということです。
フルタイムの共働き
共働きと一言でいっても働くカタチはさまざまです。なかでも家庭によって違うのは妻の労働時間です。パートタイムや時短勤務か、フルタイム勤務か。生活スタイルは大きく変わります。育休からの復帰を時短とフルタイム、どちらにすべきか悩んでいる人もいるでしょう。
統計局の労働力調査では週35時間以上の就業が1つの目安となっています。週35時間以上の就業=フルタイムとしたとき、フルタイム共働き世帯の数と割合は↓のようになります。
作成:マンションくらし研究所
フルタイム共働き世帯の数や割合は20年の間ほとんど変わっていません。共働き率は全体は右肩上がりで増え続けていますが、フルタイムの共働きは実はほとんど変わっていないのです。
ここから分かるのは、共働きが増えている理由はパートタイムや時短勤務だということです。フルタイム共働きのハードルの高さを表しているとも言えるでしょう。
家族構成別 共働き世帯数・割合
共働きのしやすさは家族構成によって変わります。どんな家庭で共働きが増えているのでしょうか? 詳しく解説していきます。
家族構成別
夫婦のみ・夫婦と子供・その他(3世帯同居など)それぞれの共働き世帯数は↓のように推移しています。
作成:マンションくらし研究所
夫婦と子供の世帯の共働きが特に増えていることが分かります。2000年は513万世帯でしたが2019年には745万世帯、約1.5倍にも増えています。お子さんがいる世帯では、専業主婦は時代とともに減り、家庭の事情を抱えながらパートタイムや時短で働くお母さんが増えている、そんな姿が目に浮かびます。
子供の年齢別
共働きのしやすさは子供の有無だけではなく、子供の年齢によっても大きく違います。乳幼児のころは育児負担が大きいことに加えて保育園など預け先を見つけることも課題です。小学校に上がっても低学年のうちは学童に預けたいと考える人も多いでしょう。
子供の有無・子供の年齢とともに共働き率がどう変化するかグラフにすると↓のようになります。(子供が複数人いる世帯については最年長の子供の年齢で集計しています)
日本全体
日本全体でみると、子供無し・夫婦だけの世帯の共働き率は67%です。ザックリいうと2/3は共働き世帯だということです。
子供が産まれると共働き率はガクッと下がり、0歳児のいる世帯の共働き率は38%になります。集計上、夫や妻が育児休暇中であっても雇用関係があれば共働きとしてカウントしています。単純計算すると子供の誕生をきっかけに仕事を辞める人が約半分ということになります。
2015年と2010年を比べるとどの家族構成でも共働き率が上昇しています。なかでも上昇幅が大きいのは子供が0~5歳の世帯、約10ポイントも上昇しています。
いっぽう子供が6歳、9歳になると上昇幅は小さくなっています。仕事の時間と子供のお迎え時間のバランスがとりづらくなる、いわゆる小1の壁・小4の壁が関係していると考えられます。
東京
働き方のスタイルは地域によって変わります。都心部の代表である東京についてみたのが上のグラフです。日本全国と比べると傾向に大きな違いがあることが分かります。
0歳児のいる世帯の共働き率は49%、日本全国とくらべて10ポイント以上大きいです。子供が産まれても会社を辞めず、仕事と育児の両立を目指す家庭が多いと推測できます。
いっぽう日本全国でみられたような、子供の年齢が上がるとともに共働き率が上がるような傾向は見えません。東京は人口の一極集中が起きていて保育園や学童の待機児童問題も深刻です。育児休暇が終わってしまうけど預け先が見つからずやむを得ず会社を辞めざるを得ない・・そんなご家庭の存在もこのグラフから透けて見えてきます。
共働き世帯が増えている理由
雇用が不安定になったから
共働きが増えている理由の1つとして考えられるのは雇用が不安定になったから、シンプルにいうと将来への不安です。終身雇用の崩壊、人口減少社会、実感なき景気回復、、頑張って働くほど将来が安定していくという感覚を持っている人は少ないでしょう。厚生労働省の調査でも雇用の安定の満足度は右肩下がりに減っています。
昔と比べて給料が減ったからと思っている人がいるかもしれませんが、それは正しくないかもしれません。平均賃金の推移でみるとバブル崩壊やリーマンショックの後たしかに給料は減っていますが、その後回復しています。共働き率の一方的な上昇と関係が深いとは言い切れません。経済的なダメージによって人々の意識が変わったと言ったほうが説明がつくでしょう。
女性の社会進出が進んだから
もう1つの理由として考えられるのが女性の社会進出です。男女雇用機会均等法が成立したのは1985年ですが、今もなお男性と女性の働くことについて様々な考え方が交錯しています。それでも昔と比べたら現代は女性が働くことがあたりまえ化してきていると言えるでしょう。
イクメン・イクボスという言葉が産まれ男性の育児休暇取得率にわずかながら上昇傾向が見えるようになったり、家電製品のテレビCMで男性が家事をしているところに働く女性が帰宅する姿が描かれるようになったりしています。働く。育児・家事をする。それぞれを男女でシェアするのがあたりまえという価値観の象徴ともいえます。
まとめ
共働き世帯の実態について詳しく紹介しました。女性の社会進出、男性の育児・家事参加、、働くことにたいする意識は時代とともに変化しています。変化を正しく捉え、あなたやご家族が末永く笑顔ですごせるライフスタイルを送りましょう。
共働きが誰しもの選択肢になる今、そのメリットとデメリットは正しく知っておくべきです。共働きのメリットで1番大きいのが世帯収入アップです。詳しく知りたい人は 共働きの世帯年収平均、貯金・生活費・家計事情をご覧ください。共働きすると何万円収入アップが期待できるか、どんなライフスタイルを送れそうか、統計にもとづいた事実を知ることができます。
東京で共働きが住みやすい街はどこか知りたい人は 東京23区の共働き率ランキングをご覧ください。子供なし・子供が小学生未満・子供が小学生以上と、家族構成別に共働きが多い街はどこか詳しく紹介しています。