人生100年時代なんて言われてるけど、、老後の生活が心配、貯金いくらあったら足りるんだろう、まさか老後破産になんてならないよな。。新たなライフステージは未知のことだらけで不安がいっぱいですよね。
再雇用・嘱託期間の年収、退職時の貯金額、費目ごとの生活費、老後のお金について日本人の平均を紹介します。あなたは平均と比べたら安心して老後を送れるのか、人生プランの参考にすることができます。
50・60歳代の収入
まずは年齢別の平均収入を紹介します。50歳以降の平均収入(額面)の推移は↓のようになっています。
50~54歳 | 55~60歳 | 60~64歳 | |
月収 | 41.5万円 | 39.1万円 | 25.9万円 |
ボーナス (年額) | 109万円 | 103万円 | 36万円 |
年収 | 606万円 | 571万円 | 347万円 |
50~54歳の平均は、月収:41.5万円、年間ボーナス:109万円、年収:606万円となっています。あなたは平均と比べて高いでしょうか?
本記事では収入・貯金額・生活費の平均を紹介していきます。その基準となる収入レベルはこの額です。あなたの収入との差を考慮して読み進めてください。
55~59歳になると収入は少し減ります。年収でいうと6%の減少です。理由は役職定年、一定の年齢になると管理職から外れるようにする制度です。役職定年制を導入しているほとんどの企業がその年令を55~59歳に定めています。
定年を迎えると2つの選択肢があります。そのまま退職するか、再雇用・嘱託社員として働くかです。現在、多くの会社の定年は60歳です。65歳まで引き上げる動きもありますが、本記事では60歳で定年・64歳まで再雇用で働くというケースについて紹介していきます。
60~64歳になると収入は大幅に減ります。50代と比べると約40%もの減少です。仕事を続けるとはいえ、バリバリ働いていたときと比べると収入はかなり少なくなるということです。
老後破産にならないために、まずこの現実を知っておくべきです。
50・60歳代の貯金額
老後の備えである貯金。いくらあれば心配せずにすむのでしょうか。年齢別の貯金額(二人以上の世帯・1世帯あたり)を紹介します。ここでは平均ではなく中央値を使います。一般的な貯金額を知るには中央値のほうが適切だからです。
年収 | 貯金額 | |
50歳代 | 60歳代 | |
300~500万円 | 160万円 | 800万円 |
500~750万円 | 500万円 | 1080万円 |
50歳代で平均的な年収の人の貯金額は500万円です。これくらいが普通といえる水準です。いっぽうで1000万円以上もある人が35%、金融資産を持っていない人が30%となっています。人によって差が激しいことが分かります。
60歳代になると年収300~500万円の人で800万円、500~750万円の人で1000万円、だいたい1000万円くらいが普通であると分かります。
老後を安心して暮らすには貯金が何千万円も必要!というニュースを耳にしたりしますが、現実に多くの人が貯めているのは1000万円くらいです。貯金が3000万円以上もあるような人は、60歳代でも年収が多い人です(貯金3000万円以上あるのは、60歳代・年収1000万円以上のうち50%)。
貯金が少ないから老後破産が心配という人は参考にしてください。
老後の生活費
平均的な収入・貯金額の人、毎月の生活費は何にいくら使っているのでしょうか? 年齢別の生活費平均(二人以上の世帯・1世帯あたり)を費目ごとに整理したのが↓です。
収入と貯金が平均的で、生活費の収支が↓と同じくらいであれば日本人の平均的な生活水準なので老後の心配はあまり無いといえます。
50~54歳 | 55~59歳 | 60~64歳 | 65歳~ | |
収入(万円) | ||||
世帯主の収入 | 50.5 | 47.6 | 28.9 | 0 |
世帯主以外の収入 | 9.3 | 8.3 | 7.1 | 1.3 |
公的年金・社会保障 | 1.0 | 0.9 | 3.8 | 18.1 |
個人年金・厚生年金 | 0.2 | 0.3 | 1.4 | 1.8 |
一括ローン貸借差 | 0.7 | 0.5 | 1.4 | 0.6 |
小計 | 61.8万円 | 57.6万円 | 42.6万円 | 21.9万円 |
支出(万円) | ||||
住居費・家賃 | 1.8 | 1.6 | 1.9 | 1.4 |
住宅ローン返済 | 4.5 | 3.1 | 1.6 | 0.2 |
食費 | 7.8 | 7.8 | 7.9 | 6.8 |
光熱費 | 2.2 | 2.2 | 2.1 | 1.9 |
家具・家事用品 | 1.1 | 1.3 | 1.2 | 0.9 |
被服・履物 | 1.5 | 1.4 | 1.2 | 0.6 |
保健医療 | 1.2 | 1.3 | 1.3 | 1.5 |
交通・自動車 | 4.0 | 3.5 | 4.1 | 1.9 |
通信 | 2.0 | 1.8 | 1.5 | 0.8 |
教育 | 3.6 | 1.6 | 0.3 | 0 |
教養・娯楽 | 3.1 | 3.0 | 3.2 | 2.4 |
諸雑費など | 4.6 | 4.3 | 4.1 | 2.5 |
交際費 | 1.9 | 2.5 | 2.5 | 2.3 |
仕送り | 2.1 | 1.8 | 0.6 | 0.1 |
所得税・住民税 | 5.5 | 5.3 | 3.3 | 1.1 |
社会保険料 | 6.8 | 6.7 | 4.4 | 1.6 |
個人年金・厚生年金 | 2.9 | 3.0 | 2.0 | 0.8 |
小計 | 56.9万円 | 52.2万円 | 43.0万円 | 27.0万円 |
収支 | 4.9万円 | 5.4万円 | ▲0.4万円 | ▲5.1万円 |
さきほど収入のところでも解説しましたが、60歳を超えると収入はガクッと減ります。いっぽう支出は急には下げられません。誰しも今まで暮らしてきた生活レベルを急には変えられないからです。
年齢と収入・支出の推移をグラフにすると↓のようになります。
収入の急激な下がり方に比べて、支出の下げ方がとても緩やかなことがひと目でわかります。50歳代では収入が支出を上回っていましたが、60~64歳でほぼ同じくらいに、65歳を超えると支出のほうが上回ります。
老後破産を防ぐためには収入減少にあわせて適切に支出を減らしていくことが重要だということです。それぞれ詳しく解説していきます。
住居費
住居費の目安を知るうえで気にすべきことがあります。持ち家なのか賃貸なのかです。年代別の持ち家率は↓のようになっています。
50~54歳 | 55~59歳 | 60~64歳 | 65歳~ | |
持ち家率 | 85.5% | 88.6% | 92.1% | 94.2% |
二人以上の世帯のほとんどは持ち家です。さきほどの生活費平均は持ち家・賃貸どちらも混ぜた平均となっています。そのなかから持ち家の人だけを推定すると↓のようになります。
50~54歳 | 55~59歳 | 60~64歳 | 65歳~ | |
住宅ローン 支払い世帯の割合 | 44.1% | 32.2% | 17.9% | 3.1% |
支払い額 | 10.2万円 | 9.5万円 | 8.9万円 | 7.3万円 |
97%の人は65歳までに、82%の人は60歳までに住宅ローンの支払いを終えています。なので65歳を過ぎると住宅に関わる出費(住居費+住宅ローン返済)が大きく減ります。
いっぽう賃貸の人はどうでしょうか? 同じように賃貸の人だけを推定してみます。
50~54歳 | 55~59歳 | 60~64歳 | 65歳~ | |
家賃 支払い世帯の割合 | 15.2% | 12.2% | 7.9% | 6.2% |
支払い額 | 6.1万円 | 6.1万円 | 5.6万円 | 4.8万円 |
65歳以上で賃貸に住んでいる人の家賃平均は毎月4.8万円です。これは老後もずっと支払い続けていくものです。全体平均でみると住居費・家賃は1.4万円と安く見えていましたが、これは持ち家の人が多くてその平均にひっぱられているためです。賃貸の人は65歳以降も住居費+家賃がそれなりにかかります。注意してください。
食費
リタイア後のセカンドライフを楽しむために必須である健康、そのための食生活は重要です。一見すると65歳以降 食費は安くなっています。しかしこれは1世帯あたりの金額です。
食費は世帯人数の多さに影響を受けやすいものです。そこで1人あたりの食費を計算すると↓のようになります。
50~54歳 | 55~59歳 | 60~64歳 | 65歳~ | |
食費 (一人あたり) | 2.30万円 | 2.57万円 | 2.78万円 | 2.83万円 |
年齢を重ねるごとに食費が高くなっていることがわかります。特徴的な品目についてグラフにすると↓のようになります。
年齢とともに野菜・魚・果物など健康的な食品の購入額が増えています。みんな健康を意識して食生活を変えていくことが分かります。いっぽう購入額が減っている食品は見当たりません。食費が高騰していく原因はここにあります。
なかでも目立つのが、弁当・冷凍食品・スーパーのお惣菜などの調理食品です。食材購入・自炊が多くなれば減るはずですが高止まりしたままです。調理食品は楽で便利ですが、食費の高騰や健康的な食生活とのバランスを考えて利用しましょう。
また買い過ぎにも要注意です。賞味期限が切れたから捨てるというのはお金を捨てているのと同じです。食費が平均より高い人は生活習慣の改善にとりかかりましょう。
節約
宝くじで1等が当たったのがキッカケで人生が狂って破産してしまった、、そんな話を聞いたことないですか?
その理由はとても単純です。宝くじは一時的な収入が増えるだけで、継続的な収入は変わりません。にもかかわらず生活レベルを上げて継続的な支出を増やしてしまったからです。
一度上げた生活レベルを急に下げるのはとても難しいことです。老後破産しないためには、継続的な支出を節約する習慣を早いうちに身につけることが重要です。ではどんな節約が効果的なのでしょうか?
そのヒントは、年齢とともに支出額が減っていく費目にあります。近い将来お金をかけずに生活できるものについては、早めに節約しても大きな問題は無いと考えられるからです。
生活費の支出のうち、年齢による減少額が大きいものをグラフにすると↓のようになります。
1番減少額が大きいのは自動車です。60~65歳で支出額が大きくなるのも特徴です。定年を迎えた記念に車を買う人がいると考えられます。
諸雑費も同じようなグラフになっています。リタイアして自由な時間が増えたので出費が増えやすいということです。人生を楽しむのはもちろん大切なことですが、老後の人生プランをふまえてお金は適切に使いましょう。
多くの人が年齢とともに節約していくのが通信・外食・被服です。いまや格安スマホ・ファストファッションなど節約の手段が増えています。うまく生活に取り入れていって収入の減少に備えましょう。
老後破産リスクなぜ高まっている?
人生100年時代、老後が長くなったから心配といわれる現代。昔とどのように生活が変わったのでしょうか。本当に老後破産のリスクは高まっているのでしょうか? 10年間の変化を比較してみます。
平均寿命
日本人の平均寿命、じつは10年間ではあまり変わっていません。ある年齢の人が平均して何歳まで生きるのかは、年齢+平均余命で算出します。
65歳の人の場合、2007年は男性83.6歳、女性88.6歳が平均でした。それが2017年は男性:84.6歳、女性:89.4歳になっています。たしかに男女とも平均寿命は延びていますがわずか1年程度です。長生きリスクが急増しているとは考えにくいです。
老後破産のリスクは他のところにあります。
貯金額
60歳代の貯金額が10年間でどう変わったのか比較します。
年収 | 60歳代の貯金額 | 差 | |
2017年 | 2007年 | ||
300~500万円 | 800万円 | 1123万円 | ▲323万円 |
500~750万円 | 1080万円 | 1450万円 | ▲370万円 |
貯金額は10年間でなんと300万円以上も減っています。生活費の収支、65歳以上は毎月約5万円の赤字でした。貯金を切り崩して生活しているということです。貯金が300万円少なくなるということは、5年分の生活費が無くなるということです。
老後破産のリスクの1つは貯金の少なさです。
生活費
65歳以上の生活費が10年間でどう変わったのか比較します。
65歳~の生活費 | 差 | ||
2017年 | 2007年 | ||
収入(万円) | |||
世帯主の収入 | 0 | 0 | ±0 |
世帯主以外の収入 | 1.3 | 1.5 | ▲0.2 |
公的年金・社会保障 | 18.1 | 19.8 | ▲1.7 |
個人年金・厚生年金 | 1.8 | 2.0 | ▲0.2 |
一括ローン貸借差 | 0.6 | 0.2 | +0.4 |
小計 | 21.9万円 | 23.6万円 | ▲1.7万円 |
支出(万円) | |||
住居費・家賃 | 1.4 | 1.6 | ▲0.2 |
住宅ローン返済 | 0.2 | 0.4 | ▲0.2 |
食費 | 6.8 | 6.2 | +0.6 |
光熱費 | 1.9 | 1.8 | +0.1 |
家具・家事用品 | 0.9 | 0.9 | ±0 |
被服・履物 | 0.6 | 0.8 | ▲0.2 |
保健医療 | 1.5 | 1.6 | ▲0.1 |
交通・自動車 | 1.9 | 1.6 | +0.3 |
通信 | 0.8 | 0.6 | +0.2 |
教育 | 0 | 0 | ±0 |
教養・娯楽 | 2.4 | 2.7 | ▲0.3 |
諸雑費など | 2.5 | 2.8 | ▲0.3 |
交際費 | 2.3 | 3.3 | ▲1.0 |
仕送り | 0.1 | 0.1 | ±0 |
所得税・住民税 | 1.1 | 1.5 | ▲0.4 |
社会保険料 | 1.6 | 1.7 | ▲0.1 |
個人年金・厚生年金 | 0.8 | 1.6 | ▲0.8 |
小計 | 27.0万円 | 29.3万円 | ▲2.3万円 |
収支 | ▲5.1万円 | ▲5.7万円 | +0.6万円 |
収入をみると、公的年金・社会保障が大きく減っているのが分かります。少子高齢化によってもらえる年金額は少なくなっています。10年間で1.7万円少なくなっています。
支出をみると、食費が高くなっていることが分かります。6千円も高くなっています。食費の高騰には注意が必要です。
トータル収支をみると、10年間で赤字額は減っています。その主な要因は個人年金です。この費目には貯蓄型保険も含まれています。つまり収入が減った分を、貯蓄や保険を半分に減らすことでカバーしているということです。
この将来の補償を減らしていることが、もう1つの老後破産リスクです。
老後破産でよくあるケースが想定外の病気や事故です。バリバリ働いている時代とは違い、想定外の出費があると修正することが困難になってしまいます。万が一のときのリスクを最小限にできるような老後の人生プランが重要です。
老後を考えて見直しておきたいのが保険です。定年までの収入・お子さんの教育費、いままで予測しにくかった将来のお金、すでに見えるようになっているからです。
老後のライフプランに合った適切な保障内容に見直すことで、無駄な出費を抑えたり健康リスクに備えた安心なシニアライフを送れるようになります。
自分一人で将来へのリスク対策を組み立てるのが不安な人は専門家に相談してみるとよいでしょう。専門家ならではの知識をもとに、生命保険・医療保険・がん保険・学資保険・個人年金保険、あなたと家族のこれからのライフプランを一緒に考えてくれます。
保険の相談窓口について詳しく知りたい人は 保険の相談窓口の選び方・比較ランキング をご覧ください。どんな相談窓口があるのか、違いは何なのか、あなたに合った方法を見つけることができます。
お金の心配がある人はマネースクールで正しい知識を身につけるとよいでしょう。今までにきちんとお金の勉強したことはありますか? 失敗できない老後の人生プラン、独学だけでなくプロの専門知識もあると安心です。
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まとめ
老後の年収、貯金額、生活費はどうなるのか、日本人の平均を紹介しました。人生プランを立てるのに参考にしてください。
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