マンションを売却すると税金がかかる場合があります。税金の仕組みって複雑でわかりづらいですよね? 税金がかかるのはどんな場合か、どんな優遇が使えるのか解説します。
正しい知識を知ることで、損をすることがなくなります。
マンション売却でかかる税金
マンション売却でかかる税金には2パターンあります。売却の手続きでかかるものと売却後にかかるものです。
売却手続きでかかるものは マンション売却でかかる手数料一覧をご覧ください。
本記事では売却後にかかるもの、譲渡所得税について解説します。
譲渡所得税とは
日本の法律では、所得(収入)に対して税金がかかります。会社員は給料の天引きというカタチで所得税を払っています。
マンションを売却して利益が出た場合も譲渡所得という扱いになるので税金がかかります。売却した翌年の2~3月に確定申告をして税金を払う必要があります。
譲渡所得 金額の計算方法
譲渡所得の計算方法
譲渡所得税が何円か計算するには、まず課税の対象である譲渡所得を計算する必要があります。譲渡所得の計算式は↓です。
譲渡所得 = 売却額 - 売却費用 - (取得額 + 取得費用)
売却額
マンションを売却した金額です。売買契約書に記載されています。
売却費用
売却するためにかかった費用です。不動産会社への仲介手数料、売買契約書の印紙税、司法書士への手数料などです。
取得額
マンションを取得したときの金額です。親族などから譲り受けた場合は0円です。
あなたが購入した場合、建物・土地それぞれの現在の価値を計算する必要があります。法律上、年月の経過によって建物の価値は減少する(減価償却)・土地の価値は変わらないという考えがあるからです。
建物部分について、鉄筋コンクリート マンションの場合、減価償却は↓のようになります。
減価償却額 = 建物の取得額 × 0.9 × 償却率(0.015) × 経過年数
土地部分については減価償却はありません。
4000万円(建物2000万円・土地2000万円)で購入したマンションに10年住んだ場合、建物の減価償却は270万円となります。マンションの取得額は 4000 - 270 = 3730万円 として計算することになります。
取得費用
取得するためにかかった費用です。不動産会社への仲介手数料、売買契約書の印紙税、司法書士への手数料のほかにリフォーム代も含めることができます。
譲渡所得の特別控除
税金には控除という制度があります。ある条件を満たせば、税金を計算する基準である所得(課税所得)をマイナスできる(=税金が安くなる)というものです。
マンション売却では、居住用財産を譲渡した場合の特別控除の特例が適用できます。控除額は3000万円です。
課税所得 = 譲渡所得 - 3000万円
先ほど算出した譲渡所得が3000万円以下であれば課税所得は0円、つまり税金はかかりません。しかし控除を受けるには特定の条件を満たす必要があります。詳しくは国税庁のホームページを確認しましょう。
控除を受ける条件 ※一部抜粋
- 住まなくなった日から3年後の年の12月31日までに売却している
- 売却日の前年・前々年にこの特例や、譲渡損失の損益通算・繰越控除の特例を受けていない
- マンション売買の売り手と買い手が親子や夫婦など特別な関係ではない
譲渡所得の特別控除は大きな節税が期待できますがデメリットもあります。マンション売却後、2年以内に購入した家には住宅ローン減税が適用されないという点です。
住宅ローン減税が適用されると、新築住宅だと最大400万円/10年間、中古中宅だと最大200万円/10年間の節税ができます。この権利を失うことになります。
持ち家を買い替える人は要注意です。売却マンションの譲渡所得 特別控除、買い替え先の住宅ローン減税、どちらを使うのがお得か確認しましょう。
譲渡所得の特別控除を受けるには確定申告が必要です。マンションを売却した翌年2~3月に忘れずに申告しましょう。
譲渡所得税の計算方法
譲渡所得の金額が分かったら、それに税率を掛けることで税金が何円か計算できます。譲渡所得税の税率はマンションを取得してからの年数によって数パターンに分かれます。
マンション取得からの年数 | 譲渡所得税 |
5年以下の場合 | 譲渡所得 × 39% (所得税30% + 住民税9%) |
5年を超える場合 | 譲渡所得 × 20% (所得税15% + 住民税5%) |
10年を超える場合 (6000万円以下の部分) | 譲渡所得 × 14% (所得税10% + 住民税4%) |
譲渡所得税のシミュレーション
↓の場合のマンション売却の税金を計算してみます。
取得額 : 4000万円(建物2000万円・土地2000万円)
取得からの年数: 10年(→減価償却により取得額は3730万円)
取得費用 : 100万円
売却額 : 5000万円
売却費用 : 100万円
譲渡所得 = 売却額5000万円 - 売却費用100万円 - (取得額3730万円 + 取得費用100万円) = 1270万円
譲渡所得の特別控除を使えば、所得がゼロになるので税金もゼロになります。持ち家の買い替えが無い人はこのパターンが良いでしょう。
譲渡所得の特別控除を使わない場合、譲渡所得税は 1270万円 × 20% = 254万円 となります。持ち家の買い替えがある場合、どのパターンが良いのかシミュレーションしてみます。条件は↓です。
・買い替え先の住宅は、住宅ローンで購入する
・10年後の住宅ローン残高が4000万円以上ある見込み
(=住宅ローン減税を400万円/10年間受ける)
譲渡所得の特別控除を使う
マンション売却の税金:0円
持ち家買い替えの減税:0円
トータル :0円
特別控除は使わず、買い替え先の住宅ローン減税を使う
マンション売却の税金:254万円
持ち家買い替えの減税:▲400万円
トータル :▲146万円
こちらのほうがトタールの税金が146万円安くなるのでお得です。
マンション売却後2年間 賃貸物件に住む
3パターン目として、マンション売却後2年間だけ賃貸物件に住む場合を考えます(家賃は10万円とする)。売却後2年経過した場合は特別控除と住宅ローン減税の両方使えるからです。
マンション売却の税金:0万円
2年間の家賃 :240万円
持ち家買い替えの減税:▲400万円
トータル :▲160万円
トタールの支払いは160万円安くなります。しかしこれには引越し費用が含まれていません。住み替えの手間も発生します。2つめのパターンと比べて大差がないので、あまりお得では無いといえるでしょう。
あなたのライフプランではパターンがお得になるか、あらかじめ不動産会社など専門家に相談しましょう。
マンション売却で損がでた場合
マンション売却で税金(譲渡所得税)がかかるのは利益がでた場合です。地価の上昇が続いている地域でないかぎり、多くの場合は損がでるでしょう。
税金がかからないから、確定申告は必須ではありません。しかしながら確定申告することをおすすめします。損した分を所得全体からマイナスできる(=税金が戻ってくる)からです。
条件に合えば↓のどちらかの制度を適用できます。
特定のマイホームの譲渡損失の損益通算・繰越控除の特例
マンション売却で損した分を、売却した年と翌年以降3年の所得から引くことができます。所得額が低くなるので税金が安くなります。
控除を受ける条件は↓です(一部抜粋)。
- 自分が住んでいること
- 所有期間が5年を超えること
- 売却時に住宅ローンが10年以上残っていること
- 売却額が、売却時の住宅ローン残高より低いこと
引用元:国税庁
マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算・繰越控除の特例
こちらもマンション売却で損した分を、売却した年と翌年以降3年の所得から引くことができます。
控除を受ける条件は↓です(一部抜粋)。
- 自分が住んでいること
- 所有期間が5年を超えること
- 売却前後の年のあいだに50m2以上のマイホームに買い換えること
- 買い換えで10年以上の住宅ローンを組むこと
引用元:国税庁
まとめ
マンション売却に関わる税金ついて解説しました。利益出た・損をした、いずれの場合も確定申告すべきです。売却をした翌年の2~3月に正しく手続きしましょう。
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